狛江が手本(その3)

 田中さんは工務店が話を聴いてくれなかったら、市役所に相談してくださいと(工事店に)伝えたと言います。市が雨水浸透ます設置の必要性を説明するからと。その後、実際には相談は数件はありましたが、そう多くはなかったと言います。

 市は市民の納得を得るためにはまず公共施設で雨水浸透ますを設置して率先垂範しなければならないと考えたそうです。3か年計画を練り、小中学校のような市の施設はもちろん、高校等の都の施設、国の施設などにも掛け合ったそうです。予算も大きなものとなりましたが、反対するところはなかったそうです。

 田中さんはこの取組の意義をこう表現されました。「補助金を使った行ったのではなく、市民が自らのお金で実行して下さったことが何より自慢出来るのです。」

 「市の要綱(基準)ですから、やらなくても良いわけです。罰則があるわけではない。市としては条例の方がある意味楽です。そして、指定工事店の協力を抜きにしたらこれは絶対に出来なかった。工事店さんには衛生環境で協力を願うことはあっても自然環境で協力を願うのは初めてのことでした。工事店さんは(小金井市の雨水浸透ます設置率日本一、世界一に)「誇り」を持っています。この「我がまちのため」という誇りをどう持っていただくかが大事で、そこに当時出来るだけの情熱を注ぎました。」

 最後に、ゲリラ豪雨対策の一つとして、雨水浸透ます設置の意味を田中さんにもう一度聴いてみたところ、「それは確実に効果があるでしょう。下水の能力にも限界があります。(中略)下水の負担を少しでも緩和するためにも雨水の地下浸透は必要なのです。

ゲリラ豪雨も回数は増えてはいますが、私が計算したところでは年間の雨の97.8%が雨水浸透ますで何とか対策出来る範囲ではないかと思います。あとの残りの部分は総合的に対策を取らなければどうにもなりません。」

 一時間余の時間ではありましたが、田中さんのお話は小金井市役所では十分に伺えなかった雨水浸透ます設置開始当時の様子を知ることが出来る貴重なものでした。田中さん達の活動が、国の基準をも変えてしまったのでした。

 昨今、温暖化の影響か夏の異常高温も問題化している中、田中さんは「地下水の涵養はヒートアイランド現象の緩和にも役立つんですよ。」と言われました。そして、こうも。「ただ、一番は緑なのです。緑に勝るものはないのです。雨水が下水に一気に流下するのを防ぎ、地下水を涵養してくれるという意味では緑を残すことが一番なのです。」

(終わり)

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